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「檀家」の意味を知ってますか

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2021.10.02

「檀家 お墓」で検索して上位にヒットしたページの解説を読んでビックリ

下記の様な解説をされているネットのページが多いです。
・檀家になるとは、寺院にお布施を払ってお墓を守ってもらうことです。
・檀家とは、寺院にお墓のある家のことを指します。

いつから檀家の意味が、こんなことになってしまったの?
この方の個人的な解釈なのでしょうが、この間違った解釈を引用したのが
拡散してしまっているとしか思えません。

更に突っ込めば、お寺は高額だから一般霊園が良いですよというセールス
でしかない様に思ってしまう。
実際にこの理屈で、お寺と揉めた、頼める菩提寺がなくなった等々
無用なトラブルを引き起こしている事例もあります。

檀那や菩提寺、布施なんて用語の解説までしているのに、辻褄があってない
ことに気づいてないのが不思議でなりません
言葉の由来に、お墓は出てこないし所在なんて関係ないことであります。
あのWikipediaにも、そんな解説はありません。

それでは「檀家」とは、どういう意味なのか

「檀家」語源を訪ねる

六波羅蜜
この「檀家」も省略された略語で本来は「檀那の家」という意味です。
ご自分で「檀那」という言葉を検索しても宜しいでしょう
冒頭の様な間違った解釈は出てこないと思います。

いろいろな辞書を要約すると
もともと経典が書かれた時の言葉にサンスクリット語があります。
その言葉の dāna ダーナ が語源にあり、聞いた発音を漢字の発音に
当てはめて音訳されたのが「檀那」です。

では、この dāna ダーナ を翻訳すると「布施」「施す」と訳されます。
布施は、六波羅蜜という実践しなければいけない修行の一つなのですが
これは別の機会にお話しします。

余談ですが、こんなフレーズをご存じでしょう
「ちょっとそこの旦那さん..」あてられた漢字が違うので気づきませんが
檀那と同じです。

お気に入りのお寺

膨大な経典があり、幾千の寺院があり、幾万の僧侶がおります。
皆さんにとって、好きなお経があったり、好きな寺院やお坊さんがある。
簡単に言ってしまえば、お気に入りですね。
本来は、宗旨宗派の教義や信仰に基づいた「お気に入りの寺」があり、
その特定の寺院に所属し、その寺を護り、布施を行っていく様になります。
この人たちを dānapatiダーナパティ =施主、檀越といいます。
施す人や布施する人を指すわけです。

そして、この施主さんのご家族を含めた家単位を「檀家」といいます。

祭祀や供養をお願いするお寺

さて、ここまでは「檀家」の語源を探ってみましたが、ここから少し
ご先祖様や個人の供養というのが関係した話になります。

ご家族が亡くなってお葬式をしたい。
ご先祖様のご供養をして欲しい。

当然の成り行きですが、お気に入りのお寺に依頼することになり、
そして、特定のお寺で 故人の供養=菩提を弔う こととなります。
この菩提を弔う先の寺を「菩提寺」と呼びます。

菩提を弔ってもらう(供養してもらう)寺を 菩提寺といい。
布施をしている寺だから 檀那寺ともいいます。
ここまでの語源に、お墓は出てきましたか? 出てきません

お墓の場所が云々は?

墓参
以上の説明で、檀家というのはお墓の場所によって決まるものでない
ということは既にご理解頂けたと思います。

極端な話ですが、お寺の境内(敷地)墓地がないお寺もあります。
その寺は、檀家ゼロですか?
すこし田舎に行くと、自宅の敷地内、裏山、田畑にお墓を建てている方
みなさん どこの寺の檀家でも無い?

日本全国、お墓事情は色々ありますので鵜呑みにしないで下さい。
墓の所在を根拠に、御布施を払って墓を守るとか、墓が寺にあるから檀家
もっとあきれる解説もありましたが読んでる方が恥ずかしくなる内容でした。
まったく異なった説明をしているサイトにはご注意下さい。

おわりに

神仏への信仰というのが本義ですが、故人や先祖の供養という面だけをみますと
ご供養をお願いするお寺が決まっている。→ 菩提寺がある
いつもそのお寺で供養して布施をしている。→ 檀越であり檀家
本人の認識が異なるかも知れませんが、言葉の意味合いでは檀家と菩提寺の
関係にあるのです。

お墓が、お寺にある・ない の話ではありません

寄付金だの金銭的なことから檀家という言葉を敬遠される方がおられるのは
重々承知していますが、それは、そのお寺の運営や経営方針の問題であります。
本来の意味をご理解頂きたいものです。

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